イスラエル政治の右傾化は、2009年の総選挙で「アラブ人追放」を掲げる極右連合・国家統一党が約20年ぶりに議席を獲得したことに端を発する。郵便学者の内藤陽介氏によれば、ネタニヤフ首相は当初、エルダドやベン=アリら極右議員を入閣させず、国際社会に対して自らの穏健さを主張する比較対象として利用したが、支持層流出を恐れて次第に右派レトリックを強め、政界全体の右傾化を加速させた。国家統一党は「忠誠心法案」や「NGO規制法案」を提出し、排外主義的主張を繰り返して世論を煽り、ベン=アリの議会演説では他党が一斉退場する事態も起きた。こうした動きは、ハマス支配下のガザ情勢やオバマ政権発足をにらんだ2008年末のガザ侵攻など、複合的な要因を背景としている。